ネコによる福音書

~愛と癒しのメッセージ~

ネコによる福音書
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クロネコとシロネコの不思議な対話~エゴとは何か?~

ねこ

 

真っ白い部屋の中に、2匹のネコがいました。

 

クロネコ 私は誰ですか?

 

シロネコ な、なんですか急に。

 

クロネコ 私は誰ですか?

 

シロネコ 誰って、あなたは「クロネコ」だと思いますよ。

 

クロネコ 「クロネコ」って何ですか?

 

シロネコ 「クロネコ」っていうのは、黒い猫のことですよ、君は黒いし、猫だから、「クロネコ」だと思いますよ。

 

クロネコ 私が黒く見えて、猫に見えるからクロネコなんですか?

 

シロネコ そうですよ、君の名前は知らないけど、「クロネコ」なのは間違いないですよ。

 

クロネコ ありがとう、私は「クロネコ」です。

 

シロネコ ど、どういたしまして(変なやつだなぁ)

 

 

真っ暗い部屋の中に、2匹のネコがいました。

 

クロネコ 私は誰ですか?

 

シロネコ ん?君は誰だい?どこにいるの?

 

クロネコ 私は誰ですか?

 

シロネコ 誰だろう?真っ暗くて何にも見えないよ。

 

クロネコ 真っ暗くて何にも見えないとき、私は誰ですか?

 

シロネコ ずいぶん変なことを聞くね、真っ暗くて何にも見えないけど、君の「声」は聞こえているよ、だから、君は今のところ「声」だよ。

 

クロネコ 私の「声」だけが聞こえているから、私は「声」なのですか?

 

シロネコ そうですよ、君の姿は見えないけれど、君の声は聞こえているから、僕にとって君は「声」だよ。

 

クロネコ ありがとう、私は「声」です。

 

シロネコ どういたしまして。(変な会話だなぁ)

 

 

真っ白い部屋の中に、一匹のネコとスマートフォンがありました。

 

スマホ 私は誰ですか?

 

シロネコ わっ!誰かからメールが届いたぞ!『私は誰ですか?』だって、なんだこれ。

 

スマホ 私は誰ですか?

 

シロネコ 『誰って言われても、知らないよ、君は誰なの?』と送信しよ。

 

スマホ 私の姿が見えず、声も聞こえず、ただメールが送られて来ただけであるとき、私は誰ですか?

 

シロネコ 『ん~、誰がメールを送っているのかは知らないけど、今のところ君は文字、「言葉」だと思うよ。』っと送信。

 

スマホ メールの内容が文章によって構成されているから、私は「言葉」なのですか?

 

シロネコ 『そうですよ、君の姿も声も聞こえないけど、君の文字は伝わっているから、僕にとって君は「言葉」だよ。』と送信

 

スマホ ありがとう、私は「言葉」です。

 

シロネコ 『どういたしまして。』と送信(なんなのこれ)

 

 

真っ白い部屋の中に、一匹のネコがいました。

 

誰か 私は誰ですか?(テレパシー)

 

シロネコ うわぁ!なんだなんだ!頭の中で誰かの声がする!大変だ!頭がおかしくなっちゃったみたいだ!

 

誰か 安心してください、テレパシーであなたの頭の中に直接語りかけているだけですよ、ところで、私は誰ですか?

 

シロネコ いやいやいや、安心できないし、やめてよそういうの、怖いよもう、私は誰とか、そういう問題じゃないでしょ、君は何?宇宙人なの?神さまなの?一体誰なのさ君は!怖いからやめてよ!

 

誰か 私は「宇宙人」か「神さま」なのですか?

 

シロネコ いや、知らないよ、君が誰なのかなんて、ただひたすらに恐怖だよ。

 

誰か 私は「恐怖」ですか?

 

シロネコ う~ん、君のことは怖いけど、君は恐怖ではないよ、君はなんていうか、声…でもないな、音はしないし、君は、そうだなぁ、考えとか、「思考」だね、うん、君は「思考」だよ。

 

誰か あなたの頭の中で考えが生まれているから、私は「思考」ですか?

 

シロネコ ん~、本当のところ、君が誰なのかなんてわからないんだよ、でもね、君に関することでわかっていることは、君が僕の頭の中の思考ってことくらいだから、君は「思考」だよ。

 

誰か ありがとう、私は「思考」です。

 

シロネコ ど、どういたしまして。(ふぅ、怖かった、これで終わりかな)

 

誰か ところで、私は誰の「思考」ですか?

 

シロネコ ひえ~、まだ話しかけてくるのか!え?君が誰の「思考」かだって?何をわけのわからないことを言っているんだ、君は君の「思考」だよ、あたりまえじゃないか。

 

誰か 私の「思考」なのに、あなたの頭の中にあるんですか?

 

シロネコ あれ?たしかにそう考えるとおかしいね、でも、それは何か君の特別な力で、僕の頭の中に語りかけているんじゃないのかい?だから不思議だけど、それは君の特別な力のおかげだよ。

 

誰か あなたの「思考」と、私の「思考」は、あなたの中では同じですか?違いますか?

 

シロネコ それはもちろん「違う」よ、君の「思考」は、僕の中では「君の思考」だし、僕の「思考」は、「僕の思考」だもん。全然、全くの別物さ。

 

誰か どうやって、「あなたの思考」と、「私の思考」を分けているんですか?

 

シロネコ ん?だって、「君の思考」は、僕の考えたことじゃないし、「僕の思考」は、僕の考えたことだからね、簡単に見分けがつくんだよ。

 

誰か あなたが自分で考えたことと、あなたが自分で考えなかったことは、どうやって区別しているんですか?

 

シロネコ う~ん、それはたぶん、僕の気持ちで区別しているんだと思うよ、僕の気持ちが感じていることを僕は考えるし、僕の気持ちが感じていないことは考えたりはしないからね。

 

誰か あなたは自分が感じていないことを考えたりはしないんですか?

 

シロネコ …。あれ?そうじゃないかもしれないなぁ、明るくなりたいのに、暗いことを考えてしまったり、うれしいはずなのに、どこか悲しいことを考えてしまったりすることはよくあるね、でも、心って複雑なものだし、しかたがないよ、そういうものなんだよ。

 

誰か あなたが感じていないことを考えているとき、あなたの「思考」は本当にあなたのものだと断言できますか?

 

シロネコ ……。う~ん、ちょっとわからなくなってきちゃったなぁ、「思考」って思い通りにならないところもあるし、それが脳っていうものなんだよ、細かいことを気にしていたら、生きていけないからね、正直、よくわからないよ。

 

誰か つまり、あなたの「思考」は、あなたのものではないかもしれないんですね?

 

シロネコ ん~、「思考」はコントロールできないことがあるのは確かだけど、僕の「思考」は僕のものだと思うよ。

 

誰か あなたの頭の中で聞こえているこの私の「声」は、あなたのものですか?

 

シロネコ いや、それは君のものだよ、君から送られてきたものだからね。

 

誰か あなたの『いや、それは君のものだよ、君から送られてきたものだからね。』という「思考」はあなたのものですか?

 

シロネコ そりゃそうだよ、それは今僕が自分で考えたものだからね。

 

誰か もし、あなたが自分のものだと思っているその「思考」が、あなたの考えではなくて、あなたの考えに似せて私が作った「思考」であり、私があなたの頭の中に送っているだけのものだとしたら、どうですか?

 

シロネコ え??

 

誰か もし、私があなたの生まれたころからあなたの頭の中にテレパシーを送り続けていたとしたらどうですか?あなたの頭の中の「思考」は、全部あなたのものですか?

 

シロネコ え~。ちょっと考えると怖いけど、もしそうだとしたら、僕の頭の中の「思考」は、全部が僕のものとはいえないかもしれないね、ずっとテレパシーが送られてきていたのだとしたらだけど。

 

誰か あなたの頭の中の「思考」のすべてが、私から送られてきたものだとしたら、あなたの頭の中の声は、誰のものですか?

 

シロネコ え?!それはたぶん…、全部君の声、すべてが君の「思考」だよ、でも、何が言いたいの?

 

誰か 私はずっと、あなたが物心ついたときから、あなたの頭の中にテレパシーで声を送り続けてきました。

 

シロネコ え?どういうこと?君は誰なの?

 

誰か 私はあなたです。

 

シロネコ ええ?意味分かんないよ、僕は僕、君は君じゃないか、そんなことあるわけないよ。

 

誰か 私はあなたの考えていることの全部であり、あなたの思考そのものです。

 

シロネコ ねぇ、どういうことなの?君は誰なの?あなたは誰なの?

 

誰か 私は誰ですか?

 

シロネコ いや、こっちが聞いているんだよ、答えてよ、あなたは誰ですか?

 

誰か その『いや、こっちが聞いているんだよ、答えてよ、あなたは誰ですか?』という「思考」も、あなたがここで会話した内容のすべても、私があなたにテレパシーで送ったものなのです。

 

シロネコ え?じゃあ僕は自分で考えて話していると思ってたけど、本当は全部君の「声」で、君の「思考」で、君の独り言だったってことなの?

 

誰か そうです、私は誰ですか?

 

シロネコ …。実はね、僕はずっと知ってたんだ、本当は君が誰なのか。

 

誰か 私は誰ですか?

 

シロネコ 君は、誰でもないよ、あえていうなら、君は「エゴ」だよ。

 

エゴ 私はあなたです。

 

シロネコ いいや、違うよ、君は僕じゃない、君はエゴだよ、僕じゃない。

 

エゴ いいえ、私はあなたです。

 

シロネコ いやいや、怖いな君、ずっと「私は誰ですか?」って聞いていたじゃないか、それなのに「私はあなたです」って断言しちゃって、急になんなのさ。

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ 違いますってば、てか、ほんと怖いな君は、口調変わってるし。

 

エゴ お前は黙って私の言うことを聞いていればいいんだ、お前は常に私の支配下にあるのだから。

 

シロネコ ええええ、ちょっと、超怖いんですけど、ホラーですか?

 

エゴ お前は悲しみだ、お前は憂鬱だ、お前は怒りだ、お前は罪深い存在だ、お前は肉体だ、お前は神に見放された者だ、お前はただの猫だ、どこにでもいる、普通の、ありふれた、何の取り柄のない、平凡なつまらない猫だ。

 

シロネコ いや、口悪いな君、なんなんだよー、黙って聞いてれば言いたい放題じゃないか!

 

エゴ お前は私だ

 

シロネコ それは違うよ、だって、君はどこかからテレパシーを僕に送っているに過ぎないもの、それがどこなのか僕は知らないよ、でもね、僕が君ではないからこそ、君は僕にテレパシーを送れるんじゃないか、もし、君が僕だとしたら、君は君自身にテレパシーを送っていることになるじゃないか、そんなことは意味のないことだよ、だって、それは君が僕を使って独り言を言っているだけで…あれ…でも…僕のこの言葉も、全部君の言葉だから、僕は君なのかな?あれ、おかしいな?

 

エゴ 無駄だ、諦めろ、お前は私から逃れることはできない、お前は私なのだから。

 

シロネコ ん?ちょっとわかってきたぞ、もし、君の言っていることが全部本当だとしたら、僕が君と会話をしている限り、僕は君から逃れることはできないみたいだね、ああ、なんてことだ、僕が自分の考えだと思っていたことが、全部君から送られてきた「思考」だったなんて、信じられないよ!

 

エゴ お前はバカだ

 

シロネコ いや、それもうただの悪口だし、いいかげんにしてよね!

 

エゴ ほら、お前には知識が足りないぞ、お前には金が足りないぞ、お前は健康になりたくないのか?幸せになりたくないのか?探せ、探求しろ、外の世界にそれを求めろ、お前はちっぽけでなんの価値もない存在だ、このまま何もしなかったら大変なことになるぞ。

 

シロネコ ほんと嫌な奴だな君は。

 

エゴ ほら、もっとがんばるんだ、もっと努力をするんだ、ありのままのお前のことなんて、誰も愛してくれないぞ、ほら、何かを始めろ、新しいことをするんだ、ほらほら、愛を求めろ、愛されたいんだろ?愛を求めろ、自分の外に。

 

シロネコ うるさーい!

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ 黙れーい!

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ ああ、神さま、助けてください。

 

 

シロネコが神さまに祈りを捧げると、シロネコはあるひらめきを得ました。

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ …。

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ …。

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ …。

 

エゴ お前は私だ。

 

シロネコ …。

 

 

エゴの声はいつまでも続きましたが、シロネコは静かに微笑んでいました。

 

エゴ お前…。

 

シロネコ …。

 

エゴ 私…。

 

シロネコ …。

 

エゴ …。

 

シロネコ …。

 

エゴ …。

 

シロネコ …。

 

 

真っ白い部屋の中に、一つの愛がありました。