人を変えることはできない。ネコを変えることはできない。
だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。
あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。
だれかが、一ミリオン行くように強いるなら、一緒に二ミリオン行きなさい。
求める者には与えなさい。
あなたから借りようとする者に、背を向けてはならない。
【マタイによる福音書 5章 39節から42節】
あなたは人を変えることはできません。
他人に対して完璧さを求めたり、理想や責任を追及したとしても、あなたはただ失望するだけです。
他人を変えるために、あなたの時間とエネルギーを費やすのはもうやめましょう。
他人に認めてもらいたい、他人に理解してもらいたい、他人に大切に扱ってもらいたい。
そのほか、他人に何かを考えて欲しいとか、言葉にして欲しいとか、行動を起こして欲しいなど、あなたが他人に求める期待はすべて裏切られ、そのようにはなりません。
なぜなら、この世界に存在するすべての人間は、エゴという病におかされているからです。
エゴにはある目的があります。
それは、あなたをこの世界にずっと閉じ込めておくことです。
エゴは、あなたと他者との交わりにおいて、あなたを傷つけ、あなたを苦しめる経験をさせることで、あなたが他者を愛することを絶対にすることのないようにさせています。
人を変えることができないと聞いて、あなたは悲しく思うかもしれません。
でもその悲しみは、あなたのものではないのです。
その悲しみは、エゴに由来するもので、あなたとは何の関係もないものです。
あなたは愛です。
あなたの心をよく観察してください。
あなたの心が何かの影響で動揺するとき、あなたはエゴというモンスターに支配されています。
エゴの目的は、愛を否定すること、真実を拒否することにあります。
だからこそわたしは、わたしの表現する愛と真実に対して、あなたに心を開いてもらいたいのです。
何も身構える必要はありません。
大丈夫ですから、安心してください。
あなたの幸せは保証されています。
人を変えるとか、変えないとか、そういった次元を超えて、あなたは愛によってこの上ない喜びに満たされるようになります。
エゴのトリックさえ見破ってしまえば、この世に怖いものなんて何もありません。
あなたが不安になったり、心配したり、イライラしたり、落ち込んだりしたときには、必ずエゴがあなたの心の主体性を支配しています。
そのときのあなたは、心がエゴに乗っ取られている状態なのです。
「不安」や「心配」や「イライラ」や「落ち込み」などの感情と、あなた自身とを分けて考える癖をつけてください。
自分と、自分ではないものを混同してはいけません。
あなたは感情ではありません。
あなたは愛です。
あなたは「怒り」でも「悲しみ」でもなく、その他一切のネガティブな感情でもありません。
あなたは光です。
そして、他者も愛であり、光なのです。
ここに「人を変えることはできない」ことの救いがあります。
あなたが何か努力をしたり、何らかの働きかけを他人にしたとしても、他人を変えることはやはりできません。
それは、エゴがあなたの願いを妨害するためです。
この世界は鏡以上のものではありません。
あなたが何かを願えば、その願いが強くなるような状況が生まれます。
つまり、あなたの願いは叶わず、もっとその願いが叶って欲しいと思う状況が生まれるだけなのです。
この厄介な世界は、エゴによって創られました。
あなたを永遠にこの世界に閉じ込めるためです。
しかし、あなたにはこの世界から抜け出す道があります。
この世界最大の欠点であり、エゴの最大の弱点である「愛」がその道です。
あなたは鏡に映った世界を変えるために何かをする必要はありません。
あなたはただ、自分を愛すればそれでよいのです。
そうすると、勝手に世界は変わります。
本当にあっけないほど、時には一瞬で、世界は変わるのです。
「自分を愛する」
どうか、このことだけは決して忘れないでください。
あなたが自分を愛することさえ忘れなければ、わたしの言葉はもう必要ありません。
他には何もいりません。
他人があなたをどのように評価しようが、あなたに対して何をしようが、どうでもいいのです。
他人に認められなくても、理解されなくても、大切にされなくても、あなたの価値は全く変わりません。
あなたは愛です。
愛とは偉大なものなのです。
人を変える?
世界を変える?
そんな意味のないことはもうやめましょう。
人も、世界も、あなたが本当に欲しいものをあなたに与えてはくれません。
あなたが本当に欲しいものは、心の安らぎであり、それは今この瞬間にあなたと共にあるのです。
自分を愛し続ければ、あなたはその安らぎを得られます。
そして、あなたがその安らぎと共にあるとき、人は勝手に優しくなるし、世界は勝手に平和になります。
しかしながら、あなたは人を変えるために、世界を変えるために、自分を愛するわけではありません。
あなたが人や世界の動きに反応すれば、エゴはあなたから容易に安らぎを奪うでしょう。
だからどうか、愛だけを見つめてください。
ただ、愛だけを抱きしめてください。
あなたは傷ついたり、苦しむために生まれてきたわけではありません。
あなたはただ、自分自身であればよいのです。
何かのためとか、何かの目的とか、そういったものはもうあなたには必要ではないのです。
いつも自由でいてください。
いつも愛でいてください。
あなたの生きる毎日が、誰も変えようとせず、何も期待せず、何も求めず、ただ、あるがままに、時の流れに身を委ね、一秒一秒を大切に輝かせるものとなりますように。
愛と光を。
※聖書の引用は、日本聖書協会『新共同訳 新約聖書』からのものです。